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解雇権濫用について

解雇権の濫用

解雇権の行使は労働者に経済的・精神的に深刻な影響を与えることは言うまでもありません。労働基準法が解雇に関する規制を設けているのもこのような理由からです。
現行では「解雇が濫用に該当する場合には無効である」という考え方が主になっており、判例でもこの考え方は確立して来ました。


<判例>
2度にわたり宿直勤務の際、寝過ごし、早朝6時からの定時のニュースを放送できなかったアナウンサーを解雇した放送会社に対して従業員としての地位確認を求めた事例では、普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、 当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるものというべきであるとされました。
(最高裁第2小法廷判決 昭和52年1月31日 高知放送事件)

このような判例を元に平成15年の労働基準法改正第18条の2において解雇権濫用法理が次のように明文化されました。


「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」


解雇権の濫用となるか否かについては判例は厳格です。


<判例>
使用者がなした製造部門全面閉鎖に伴う整理解雇につき、就業規則の定める「やむをえない事業の都合によるとき」には当たらないとして従業員の地位の保全等を求めたもので整理解雇4要件として次の要件があげられました。
  1. 当該事業部門を閉鎖することが企業の合理的運営上やむをえない必要に基づくものと認められる場合であること
  2. 当該業部門に勤務する従業員を同一又は遠隔でない他の事業場における他の事業部門の同一又は類似職種に充当する余地がない場合、あるいはこの配置転換を行ってもなお全企業的に見て剰員の発生が避けられない場合であって、解雇が特定事業部門の閉鎖を理由に使用者の恣意によってなされるものでないこと
  3. 具体的な解雇対象者の選定が客観的、合理的な基準に基づくものであること
  4. 解雇の手続きが妥当であること
が必要であり、整理解雇が有効か否かはこれらの要件の該当性の有無、程度を総合的に考慮して判断されるべきであるとされました。
(東京高裁判決 昭和54年10月29日 東洋酸素事件)


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