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業務命令権について |
使用者は業務命令権を持っていると言われています。
所定労働時間内でどんな機材を使ってどのような商品を生産するか、どのような接客態度でサービスを提供するかなどは、使用者の具体的命令によって決まります。
ただし、業務命令といえども、違法なものや契約の趣旨に反するものは拘束力を持たないとされています。
違法な業務命令としては以下のようなものがあげられます。
- 強制労働の禁止(労働基準法第5条)
- 危険有害業務の就業制限(同法第62条、第64条の3、労働安全衛生法第61条)
- 病者の就業禁止(労働安全衛生法第68条)
- 年少者や女性の坑内労働禁止(労働基準法第63条、第64条の2)
- 年少者の深夜業の禁止(同法第61条)
- 徒弟の酷使の禁止、技能の習得を目的とする労働者の家事その他技能習得に関係ない作業への使用禁止(同法第69条)
また、生命の危険がある労働への従事命令も、労働安全衛生法で定める措置基準に反するなど生命の危険性が極めて高いものであれば、業務命令が拘束力を持たないと考えるべきとされています。
上記以外にも、業務命令の中でもよく問題となるものに、「超過労働命令」があります。これは休日労働、時間外労働、深夜労働などを意味しています。
契約上、労働義務の課せられていない休日や時間外における労働の要求であっても、労働契約の内容になるとみられている就業規則の規定に、一般に時間外労働や休日労働を命ずることがある旨の規定が設けられているのでこのような命令権は確保されていると解されています。
ただし、この命令に労働者が従わない場合は全て義務違反かというとそのようなことはありません。労働者の側に正当な事由があれば、超過労働命令を拒否できます。
労働基準法では、労働時間について以下のようにされています。
労働時間は、原則として休憩時間を除き1週40時間、1日8時間が限度とされ、休日は週休が原則とされています(労働基準法第32条、第35条)。これを超える労働、すなわち1日8時間あるいは1週40時間を超える労働、週休日の労働は、労使協定の範囲(労働基準法第36条)で、または非常災害の場合(労働基準法第33条)に認められます。
年少者については、非常災害の場合を除き、一切の時間外、休日労働が禁止(労働基準法第60条)されています。
以上の労働基準法の制限規定に従わない違法な超過労働命令は、労働者を拘束する力がありません。労使協定が法定のとおり結ばれていないのに1日8時間を超える時間外労働を命じた場合は違法な超過労働命令であるという理由で労働者はこの命令を拒否しても差し支えありません(昭和25年10月10日 東京地裁決定、宝製鋼所事件)。

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